ひよこ先生備忘録

教員あかちゃんのチラ裏

読書記録「あと少し、もう少し」「幸福な食卓」

休日は瀬尾まいこの本を読みました。国語の先生なので。(ドヤ)

教材研究するときは、同じ作者の違う本も読んでおけというのが教授の口癖でした。

本当は春休みに読んでおくべきなんですけどね……。学校始まったらマジで本読む余裕無くて引いた。

 

覚え書きがてら紹介します。

 

 あと少し、もう少し (新潮文庫)

あと少し、もう少し (新潮文庫)

市野中学校は、生徒数が少ないながらも鬼のような神のような満田先生の指導のもと、毎年駅伝の県大会出場を果たしていた。

しかし満田先生は異動してしまい、新しい顧問は頼りない美術教師。しかも、陸上部で長距離を走れる選手は3人しかいない……。

 

駅伝の大会に向け、6人の男子中学生が右往左往四苦八苦するお話。すごくアツい。

上記の通り陸上部で長距離を走れるのは三年生の桝井と設楽、二年生の俊介の3人だけ。残り3人を陸上部外から集めてくるのですが、なかなかまとまらない。

楽しくなんかない、いじめられないために全力なんだという設楽。小学校の頃からワルで通ってきた、誰にも怖がられる大田。お調子者で、頼まれごとを断れないバスケ部のジロー。インテリの芸術家を気取る、吹奏楽部の渡部。駅伝メンバーで唯一の二年生で、桝井を尊敬してやまない俊介。そして、頼りない顧問に失望しながらも、部長としてなんとしても県大会出場を果たしたい桝井。

この6人と新顧問の上原先生が、ちぐはぐで、それでも少しずつまとまって行く姿が愛おしかったです。

6人のメンバーはそれぞれがそれぞれに複雑な思いを抱えており、中学生だからこそのすれ違いや意地の張り合いを繰り返して乗り越えて行くのが本当に…………(語彙力)。

個人的に春ごろの上原先生の姿に涙が出そうでした。私じゃん。でもこの人すごく強かだった。

 

教科書に掲載されている「花曇りの向こう」と同じテンションで読めました。中学生にも軽率に勧めようと思います。

ひとつ難しいとすれば、プロローグの後は1区、2区、……5区、6区という章立てで、1区につき一人の登場人物の視点と回想で書かれているため、時系列がややこしいところかな……。

私はこういうのメチャメチャメチャ大好きですが。

 

 

 

 幸福な食卓 (講談社文庫)

幸福な食卓 (講談社文庫)

一方こちらは全体的に薄暗い雰囲気です。時々胃が縮むような辛いシーンもあります。

 

佐和子が中学に入る春、父さんが「父さん」をやめますと宣言する。兄がいいんじゃないと受け入れ、最初は戸惑っていた佐和子も徐々に慣れていった。そして梅雨。佐和子は毎年この時期になると、調子が悪くなるのだ……。

 

父さんをやめた父、別居の母、マイペースな兄、真面目な佐和子の4人家族と、家族を取り巻く人々について描かれています。

佐和子の成長と変わらないところにほっこりしながらも、それぞれが歪みを抱えた家族の様にやりきれない思いを抱えて読み進めていました。特に大浦くんのアレ以降はもう涙が止まらなかった……。

ネタバレしないように配慮すると、この作品割と書けないことが多いですね……是非自分で読んで衝撃を受けてほしいです。

映画?ドラマ?になったり、漫画になったりしたようです。そっちも気になる。

 

作中で佐和子が高2まで成長するので、中学生には難しいかなとか、薄暗いのであんまり朝読書には向かないなとか、読ませないことばかり考えてしまいますが、私はこういうのスンッッッッッッッゴイ好きです。中学生にも勧めてみようと思います。

 

 

自分の語彙力のなさに打ちのめされつつも、久しぶりに本を読んでなんだか満たされております。

これからも読んだ本についてはメモしていきたい。